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親不孝通りディテクティブ 北森鴻/著 [本の感想]


親不孝通りディテクティブ

親不孝通りディテクティブ

  • 作者: 北森 鴻
  • 出版社/メーカー: 実業之日本社
  • 発売日: 2001/02
  • メディア: 単行本


連作短編集。収録は『セヴンス・ヘヴン』『地下街のロビンソン』『夏のおでかけ』『ハードラック・ナイト』『親不孝通りディテクティブ』『センチメンタル・ドライバー』の計6編。九州博多の長岡で、カクテルが売りの屋台を営むテッキと、かつての恩師が経営する結婚相談所の調査員をするキュータ。高校時代『鴨ネギコンビ』と呼ばれたふたりが、ハードボイルドばりに様々な事件の巻き込まれていく。


連作短編集。収録は『セヴンス・ヘヴン』『地下街のロビンソン』『夏のおでかけ』『ハードラック・ナイト』『親不孝通りディテクティブ』『センチメンタル・ドライバー』の計6編。九州博多の長岡で、カクテルが売りの屋台を営むテッキと、かつての恩師が経営する結婚相談所の調査員をするキュータ。高校時代『鴨ネギコンビ』と呼ばれたふたりが、ハードボイルドばりに様々な事件の巻き込まれていく。連作短編の旗手と呼ばれる北森鴻の魅力と期待は裏切られなかったが、ある部分では大いに裏切られた。勿論、良い意味で。どちらかというと、私が感じる北森作品の印象は、そこはかとなく湿度のある、かなり日本人の好きなテイストだと思っている。その期待を逆手に取って、始まりは非常にカラッとした乾いた雰囲気で物語が進む。滅茶苦茶悪くはなれないけれど、世間に馴染めるほど良い人にもなれない、未だにつっぱったキュータ。昔はキュータと同じだったはずなのに、やけに普通におさまったテッキ。基本的に、キュータが持ち込むゴタゴタに腐れ縁的にテッキが巻き込まれるというノリだ。一見ありがちな設定ともいえる。実際、前半は『ドタバタ』とキャラクターの面白さで読ませる感じが強い。それが、かすかに北森節になっていくのが『親不孝通りディテクティブ』からだ。テッキの屋台で永久欠番になっている『雪国』というカクテルに絡む物語。それまでに登場した多彩な登場人物たちが終結し、『雪国』の謎が解明していく。そして、すべての登場人物たちが、ただのつっぱっているだけの人間でないと、読み手側の認識を上手くシフトさせていく。このシフトの上手さが、最後の『センチメンタル・ドライバー』で非常によく効いている。テッキとキュータが高校時代ボコボコにした、天才型の悪人・米倉が博多の街に戻って来た。瀬川と名前を変え運転免許を取得しようとしている米倉を探るふたりは、米倉がふたりの恩師であるおふくろを罠に嵌めようとしている事を知る。それを阻止する為に行動を起したふたりは…。まさか、こんな結末だとは。正直、かなりの驚きだった。え?え?えー!?と。ハッピーエンドに出来るはず(というか、このまま行ったらそうなるだろう)という結末を敢て無視して、全く予想もしなかった結末、しかも悲しい結末を持ってくるという、北森作品独特の終わり方だった。前半がカラッとした乾いた作風だっただけに、この結末には賛否両論だろうが、私はこのラストは非常に気に入っている。ただ、先に書いたように、間に『親不孝~』があってこそ受け入れられるラストだとも思う。突然こんなラストを突きつけられたらどうだったろうか?多分、受け入れられなかっただろう。その辺の上手さが秀逸だった。恥ずかしながら、最後のキュータの言葉と、テッキの手紙には泣いてしまった。おすすめな作品ではあるのだが、残念ながら現在絶版。文庫落ちしてもいい良作だと思うのだけれどなぁ。ほんと残念!


(2005年12月の感想)


2009年11月の追記:
後に文庫化されました。

親不孝通りディテクティブ (講談社文庫)


単行本で出てから5年後の文庫落ちでした。
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