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モーツァルトは子守唄を歌わない 森雅裕/著 [本の感想]


モーツァルトは子守唄を歌わない (fukkan.com)

モーツァルトは子守唄を歌わない (fukkan.com)



第31回江戸川乱歩賞受賞作品(同時受賞は東野圭吾『放課後』)。1809年のウィーンが舞台となる音楽ミステリ。楽譜屋に立ち寄ったベートーヴェンは、店主のトレークと体格にいい娘が言い争っている場面に遭遇する。娘・シレーネは自分の父親が遺書代わりに残した楽譜を、モーツァルトの名前で出版された事に対して抗議していたのだ。シレーネの父親は、妻がモーツァルトと不倫の末シレーネを身籠った事を苦に、モーツァルトの死の次の日自殺した。モーツァルトの死には、不審な点があり、まことしやかに暗殺説も流れていたが、その一番の容疑者こそが宮廷の第一楽長・サリエリだった。シレーネは、楽譜にモーツァルト暗殺の謎が隠されていると睨み、怪しい関係者たちの動向を見るために楽譜『モーツァルトの子守唄』を出版したのだ。ベートーヴェンは、シレーネや弟子のチェルニーらに巻き込まれる形で謎解きに奔走する。


私は、実在の人物と史実を下敷きに展開するミステリ小説というのは、かなり難しいし大変だろうと思う。いかにして上手く史実を辿りながら齟齬のないようにフィクション(謎解き)を織り込んでいくか、これに失敗するとただの個人的な歴史の解釈でしかなくなる恐れがある(小森健太郎の『Gの残影』とかそうだった)。そういう点では、上手い具合にバランスが取れているのではないかと思う。ただ私はクラシックに造詣がないので、どこまでが史実でどこからが創作なのかは判別できなかったし、楽譜も読めないので『モーツァルトの子守唄』に隠された暗号もいまひとつ理解が及ばなかった。それと、外人の名前が苦手な上に、物語がかなり錯綜していて、登場人物の関係図を理解しながら読むのは若干の苦労が伴った。でも、俗物的なベートーヴェンと、ウィーンが舞台になっている割にノリは関西風といったアンバランスさは素直に楽しめた。まぁ、つまづいてしまった登場人物の関係図等については、もう一度読めばどうにかなりそうな気もするので、そのうち機会を見て再読してみたいと思う。ところで、長い間絶版だったこの作品が、最近復刊ドットコムからめでたく復刊とあいなった。復刊された本も買ってしまったが、今回は乱歩賞の選評の載った講談社版で読んでみた。この選評もなかなか面白いのだが、それ以上に面白いのが、最後に載っている歴代乱歩賞のリスト。『モーツァルトは子守唄を歌わない』の説明文を読むと、この作品は『コミックミステリー』だそうだ。これが作者の意図したところとは思えないが、なんだかやけに80年代っぽく、懐かしい気持ちになってしまった。


余談だが、この年の『週刊文春 ミステリーベスト10』はこんな感じ。
1位 放課後 東野圭吾★
2位 見返り美人を消せ 石井竜生・井原まなみ
2位 モーツァルトは子守唄を歌わない 森雅裕★
4位 北の夕鶴2/3の殺人 島田荘司★
5位 名なし鳥飛んだ 土井行夫
6位 チョコレートゲーム 岡嶋二人★
7位 神話の果て 船戸与一
7位 背いて故郷 志水辰夫
9位 雨はいつまで降り続く 森詠
10位  夏、19歳の肖像 島田荘司

★ ★マークのみ既読。既読の中でマイベストを決めると、私の場合… 1.チョコレート・ゲーム 岡嶋二人2.北の夕鶴2/3の殺人 島田荘司3.放課後 東野圭吾4.モーツァルトは子守唄を歌わない 森雅裕5.夏、19歳の肖像 島田荘司 という感じかなぁ。岡嶋二人はぶっちぎり(人さらいの岡島)。

(2006年1月の感想)
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